広葉樹林化のための更新予測および誘導技術の開発

・山梨県森林総合研究所(機関ホームページ

間伐の年数が経過すれば鳥が食べられた種子は増えるか?

人工林の間伐を行うことは、広葉樹林化を進める上で、大きな役割を果たすと考えられています。なぜならば、開けられた空間は植えられた木だけではなく、その後から自然に生えてくる木にとっても好適な環境になるからです。そこで、山梨県のカラマツ人工林で、まず、間伐後の年数が経過すれば自然に生えてくる木が増えてくるかを調べました。その結果、それらは増えており、しかも大きく育っていることがわかりました。大きく育った結果、ミヤマザクラという木は花を咲かせて実を結ぶこともわかりました。さらには、そのミヤマザクラの果実を食べに鳥がやってきていることもわかりました(図1)。サクラの種類は、鳥によって食べられることによって、発芽率が高まることが知られています。したがって、間伐後の年数が経過することによって、発芽しやすくなったミヤマザクラの種子が多く落下していたのです。このことは、広葉樹林化を進める上で重要なことでしょう。ところが、その後の調査を進めていくと、その種子が野ネズミによって食べられてしまうこと、発芽しても暗いために死んでしまって育たないこと、育ってもシカに食べられてしまうことなど、多くの障害が待ちかまえていることがわかりました。発芽しやすくなったミヤマザクラの種子が多く落下していたことを活かすためには、これらの障害を取り除くことが必要です。


下:間伐後の年数の異なるカラマツ人工林でのミヤマザクラの落下種子数