AHP法を応用した地域のアメニティ資源の機能評価の手順 

 

 1.評価者の参集

 専門家、地元住民、都市住民など異なる属性の人々を選出し、参集する。

 集団討論で評価を行う場合は、各グループ5、6人程度とする(アンケートによる場合は、統計的に有効な数を確保する)。 

 2.調査内容の説明

. 調査目的・調査方法等の説明を、各グループに行う。

 3.地域内アメニティ資源の摘出

 対象地域の管内図を広げ、対象地域内のアメニティ資源をすべてあげてもらい、記録する(表1)。

 4.代表的な資源の集約

 3であげた資源の中から、地域を代表する資源を集団討論により、3〜6個程度に集約する(表2)。

 5.アメニティ魅力因子の抽出

 4のそれぞれの資源について、アメニティを構成する魅力の要因因子をあげてもらう(表3)。

 6.階層図の作成

4および5により、地域のアメニティを構成する因子の階層構造が決定される。また、5の魅力の因子を細分化していく過程で、階層構造も細分化される(図1)。 

 7. 一対比較

各階層のグループおよび階層ごとに一対比較表を作成し、重要度の一対比較(5〜9段階で)を行う(表4〜5)。

 8.重要度の算出

7の結果からそれぞれの因子の重要度を算出する。

 9.整合性の検討

重要度の算出結果の整合性について、チェックを行う。

 10.結果の整理

代表的なアメニティ資源や重要度の高い因子などの分析を行う。また、専門家、地元住民、都市住民など、評価者の属性ごとの因子ウエートの特性について整理する。

 

(※以下の項目は、必要に応じて)

 11.因子ウエートの総合化

地域のアメニティ資源から因子を抽出する場合は、それぞれのアメニティ資源を構成する因子に共通した性質をもつものが出てくる。例えば、自然性や歴史・文化性や景観など。地域全体のアメニティ機能を把握するためには、これらを取りまとめる必要がある。

また、森林のアメニティを評価する場合は、森林簿データなど物理的環境データを用い、森林アメニティ特性を数量化する。その結果は、メッシュやGISなどで図化する。

[表1]アメニティ資源の摘出例
自然   森林、湿原、湖沼、山岳など
施設   スキー場、キャンプ場など
温泉    
歴史   祭り、神社、寺など
[表2]アメニティ資源の集約例
評価者   選んだアメニティ資源
専門家 A沼、B湿原、C湖、D山、E温泉、F祭り
地元住民 A沼、B湿原、C湖
[表3]アメニティ魅力因子の抽出
4.で集約したアメニティ資源
A沼  
専門家抽出 景色、湖水、植生、鳥・魚、宿泊施設、ビジターセンター、交通
地元住民抽出 景色、湖水、植生、鳥・魚、宿泊施設
   
B湿原  
専門家抽出 景色、湖水、植生、鳥・魚、池とう(ちとう)、交通、売店・休憩所
地元住民抽出 景色、湖水、植生、鳥・魚、池とう(ちとう)、交通
[表4]重要度のランク付け
アメニティ資源a=1とする   アメニティ資源bのランク
bはaと同じように重要   1
bはaよりやや重要   3
bはaよりかなり重要   5
bはaより非常に重要   7
bはaよりきわめて重要   9

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