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地域の竹資源を活用した環境調節機能を持つ複合建築ボードの開発
2006~2008年度
近年、竹材・竹炭・竹製品の輸入増加や竹材代替資材の普及により地域竹材の需要低下が進み、放置竹林の増加や、里山周辺林への侵入等の問題が全国的に生じていることから、各県では竹資源の有効利用の推進や放置竹林の拡大防止を施策として取り上げている。
地域の竹資源を活用し、高性能・高信頼性建材である複合建築ボードの製造技術を開発することで、現在未利用の竹資源の活用、安心・安全な居住空間の開発、環境負荷の少ない処理技術による高耐久・高機能木質材料の開発、木材製品から放出される揮発性化合物の削減に資することを目的とする。
竹建材の生物劣化及び強度性能の弱点克服に必要な処理技術として加圧蒸気・圧密化処理を取り上げ、生物劣化抑制および強度向上技術に関する研究を行う。竹建材の機能性及び付加価値の付与に必要な製造技術として吸着性能の最適化・成型技術の低環境負荷化を取り上げ、機能性・付加価値付与技術に関する研究を行う。さらに性能の最適化・設計施工方法の技術資料化により最適製造・利用技術に関する研究を行う。
加圧蒸気処理について検討を行い、圧力・温度及び処理時間等をパラメータとして、糖・澱粉等の成分分析、乾材害虫の食害試験等の解析を行うことで、生物劣化抑制効果が高く、ボード用エレメントに適用可能な加圧蒸気処理条件を導出し、生物劣化を抑制した材料性能を確立した。
また、竹材の圧密化処理について検討を行い、竹材種やエレメント形状をパラメータとしたボード・軸材料・接合具の試作及び強度試験を行うことで、竹建築ボードの製造に最適な圧密化処理技術を構築し、鋼材に匹敵する強度を有する材料を開発した。さらに、エレメントの構成方法と強度性能との関係を明らかにし、目的とする性能を達成するための材料断面の設計方法を提案した。
竹炭のガス吸着性能については、炭化温度別のVOC等ガス吸着試験を行うことで、炭化条件と竹建築ボードのガス吸着性能の関係を明らかにした。また、天然系接着剤の利用、竹エレメントの自己接着性を利用した接着剤軽減について検討を行い、成型条件と接着性能の関係の解析を行うことで、最適なプレス成型条件を明らかにし、環境への影響が少ない成型技術を開発した。さらに、開発した成形技術を竹炭ボードに適用することで、従来の内装材料を超える強度性能とVOC等ガス吸着性能を合わせ持つ竹炭・竹繊維複合ボードを開発した。
竹複合建築ボードの製造技術に関しては、今日の木質構造物で要求される高水準の構造安全性・居住快適性の両者を達成するための複合建築ボードの断面設計法を確立し、最適製造条件を導出した。
得られた成果を元に竹複合建築ボードの性能を活かした建築物の設計・施工方法に関する技術的資料を作成した。
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