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窒素の多い雨でスギの蒸散が増える

2008年5月9日掲載

論文名 Nitrogen promotes water consumption in seedlings of Cryptomeria japonica but not in Chamaecyparis obtusa(窒素はスギ苗の水消費を促進するが、ヒノキ苗の水消費を促進しない)
著者(所属) 長倉 淳子・金子 真司・高橋 正通(立地環境研究領域)、丹下 健(東京大学)
掲載誌 Forest Ecology and Management (森林の生態と管理、オランダ) 255巻7号、2008年4月
内容紹介  排気ガスなどによる大気汚染や化学肥料の使用により大気中の窒素化合物が増え、雨とともに森林に流入する窒素量が増えています。そこで、窒素の増加がスギとヒノキの生理特性に及ぼす影響について、苗木を用いて調べました。その結果、窒素を多く与えると、スギの蒸散量は約1.3倍に増加し、湿潤な土壌条件ほど蒸散量は増えましたが、ヒノキは変化しませんでした。スギは一般に乾燥に弱い樹種といわれています。今後、国内や大陸から越境する窒素化合物が増加したり、温暖化によって気温が上昇すると、スギ林の蒸散が一層活発になり土壌の乾燥化が進み、スギは乾燥害を受けやすくなる可能性があります。森林への窒素等の流入実態を注意深く監視していく必要があります。

 

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