研究紹介 > 研究成果 > 研究最前線 2010年紹介分 > 熱帯早生樹アカシアの成長の秘密を解明 -アカシアマンギウムのリン欠乏環境下に適応した養分利用-
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2010年12月6日掲載
論文名 | Nitrogen and phosphorus retranslocation and N:P ratios of litterfall in three tropical plantations: luxurious N and efficient P use by Acacia mangium(3種の熱帯人工林における窒素とリンの再転流とリターフォールのN:P比:アカシアマンギウムによる贅沢な窒素利用と効率的なリン利用) |
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著者(所属) |
Masahiro Inagaki, Koichi Kamo, Kazuki Miyamoto, Jupiri Titin, Lenim Jamalung, Jaffirin Lapongan and Satoru Miura (稲垣 昌宏(立地環境研究領域)、加茂 皓一(林業科学技術振興所)、宮本 和樹(四国支所)、ジュプリ チチン、レニム ジャマルン、ジャフィリン ラポンガン(サバ州森林研究センター)、三浦 覚(立地環境研究領域)) |
掲載誌 |
Plant and Soil(植物と土壌)、2010年11月にOnline First版、 |
内容紹介 | 一般に熱帯地域の土壌は養分が乏しく、特にリンが不足し、樹木の成長を制限する要因となっています。湿潤熱帯地域においてマメ科早生樹のアカシアマンギウムは、貧栄養な場所でも成長が良く、造林に広く利用されています。マメ科植物は空中窒素固定によって窒素を多く取り込むことが出来ますが、熱帯に多いリン欠乏に対する適応は、これまで成長した林分では明らかにされませんでした。本研究では、マレーシア・サバ州のアカシアマンギウム人工林(21年生)とその他2樹種の人工林において、新鮮葉と落葉中の窒素とリン濃度を、落葉前の養分の移動(再吸収)の観点で比較しました。その結果、窒素の再吸収が3種類とも少なかったのに対し、リンに関してはアカシアマンギウムでは他の2種類と異なり、大半のリンを選択的に再吸収していることが分かりました。これは、アカシアマンギウムの持つ固有の特質であり、熱帯の造林樹種としての有用性を示すことが分かりました。本研究から得られた知見は、アカシアマンギウムと他の樹種とを混交した造林や、リンの効率的利用に関わる遺伝子情報の解明など熱帯の再造林の問題解決につながることが期待できます。 |
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