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ナラ枯れ防除に「おとり木トラップ」 ―カシノナガキクイムシと病原菌を同時に撃退―

 2013年2月7日掲載

発明の名称 カシノナガキクイムシ捕殺用おとり木トラップ及びカシノナガキクイムシの捕殺方法
発明者及び所属

衣浦 晴生(森林総合研究所)、齊藤 正一・中村 人史(山形県森林研究研修センター)、阿部 豊(住化グリーン株式会社)、岡田 充弘(長野県林業総合センター)、小林 正秀(京都府林業試験場)

特許出願番号 特許第5147264号
特許出願年月日 平成24年12月7日
特許概要

日本各地でナラ・カシの集団枯れ、いわゆる「ナラ枯れ」が問題となっています。カシノナガキクイムシはミズナラ、コナラなどに穴を開けてもぐり込み、穴の中で共生菌を増やして食べて育つと同時に、共生菌とは別の「ナラ枯れ」の病原菌(ナラ菌)を伝染させる昆虫です。本特許は、この昆虫を効率的に減らし、ナラ枯れ対策に貢献する技術です。まず、生きているナラにあらかじめ殺菌剤を注入しておきます。次に、カシノナガキクイムシがその木に集まるように「集合フェロモン」(合成品)を取り付け、さらに幹に小さな穴を開けて樹木の匂いを発散させることで誘引力をアップします。こうして作った「おとり木」にはたくさんのカシノナガキクイムシがもぐり込みますが、殺菌剤のおかげでナラ菌は広がらず木は枯れにくくなるうえ、カシノナガキクイムシの餌菌(共生菌)の生育も抑えられるため、この虫の繁殖が阻害されます。こうして「おとり木トラップ」に集まったカシノナガキクイムシの多くは繁殖しないまま死亡し、ナラの木は生き残ります。おとり木トラップの設置で、最大十分の一程度までナラ枯れ被害を減らせるという試験結果も出ています

 

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