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「ハーメルンの笛」で外来リスを一挙に捕獲

2013年5月10日掲載

論文名 Sound playback surveys to reveal the distribution of invasive alien Pallas’s squirrels, Callosciurus erythraeus .(音声再生法による外来種クリハラリスの分布調査)
著者(所属)

田村(林)典子(多摩森林科学園)、重昆 達也(入間リス研究グループ)、金田 正人・御手洗 望(株ゼフィルス)、繁田 真由美・繁田 祐輔(野生生物管理)、山崎 文晶・森崎 将輝(日本獣医生命科学大学)、津田 朋香・小野 晋(地域環境計画)、長谷川 奈美・和栗 誠(入間市役所)

掲載誌 Mammal Study 38 Nakanishi Printing Co. Ltd. 2013.9 DOI:10.3106/041.038.0205(外部サイトへリンク)
内容紹介

外来種クリハラリス(別名タイワンリス)は、林業被害や在来生物種への影響が非常に大きいため、2005年に特定外来種に指定されました。しかし、その後も各地で飼育されていた個体の野生化による被害が問題になっています。

外来種対策としては、野生化初期での速やかな捕獲が最も有効であることが知られています。ところが、これまでの事例では、樹皮剥離などの被害が目立つ頃、つまり個体数密度が高くなってはじめて、クリハラリスの生息が確認されてきました。その時点ではすでに、捕獲が追い付かないほど個体数が増えてしまっていたのです。

私たちは、クリハラリスが音声信号に依存した社会を持っていることに着目し、密度が低い野生化初期に生息を検出する手法を試みました。クリハラリスは天敵のヘビに対して集団で攻撃をする習性があります。このときクリハラリスが出す警戒音声を利用すれば、ハーメルンの笛吹き男が、笛の音でネズミをおびき寄せたように、彼らを集められるのではないかと考えたのです。その結果、あらかじめ録音しておいた警戒音声を再生することによって、周辺に潜むリスを誘引することができることが明らかになりました。

この手法によって、東京都西部におけるクリハラリスの生息分布を、低密度のうちに明らかにすることができました。そして、音声によってリスが誘引された地点で捕獲作業を行い、効率的に個体数を減らすことができました。

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