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地球温暖化に関わる土壌炭素量の推定が簡便に

2013年10月17日掲載

論文名 A pedotransfer function for estimating bulk density of forest soil in Japan affected by volcanic ash.(火山灰が混入した日本の森林土壌の容積重を推定するための換算式)
著者(所属)

南光 一樹(立地環境研究領域、現:気象環境研究領域) 、鵜川 信(鹿児島大学農学部)、橋本 昌司、今矢 明宏、小林 政広(立地環境研究領域)、酒井 寿夫(四国支所)、石塚 成宏(九州支所)、三浦 覚、田中 永晴(立地環境研究領域)、高橋 正通(研究コーディネータ)、金子 真司(立地環境研究領域)

掲載誌 Geoderma, 213巻, Elsevier, 2014年1月, DOI: 10.1016/j.geoderma.2013.07.025(外部サイトへリンク)
内容紹介

森林の土壌には樹木の数倍の炭素が蓄積されています。そのため、地球温暖化での森林の役割を知るためには、森林土壌の炭素蓄積量を正確に評価することが必要です。土壌炭素蓄積量は、一定体積に含まれる土壌の重さ(=容積重)と炭素濃度を乗じて求めます。炭素濃度は分析装置を用いて迅速に精度よく分析することができますが、容積重の測定は機械化が難しく手作業なので、熟練が必要であり、時間と費用を要します。そのため、欧米では炭素濃度などから容積重を推定する式が開発されています。しかし、日本の森林土壌は火山灰を多く含むので、諸外国の式の適用が難しいと予想されました。

全国の森林土壌の炭素蓄積量調査データから火山灰の影響の強い土壌3513点を選び、炭素濃度と容積重の関係を調べました。諸外国と同様、炭素濃度が高くなるほど容積重が小さくなる傾向がありましたが、諸外国の推定式は、日本の森林土壌の容積重を過大評価し、適合度はよくありませんでした。そこで推定式を再検討し、日本の森林土壌に適合するように改良しました。これにより土壌の炭素濃度から求める容積重の推定精度は大幅に改善され、火山灰の混入した日本の森林土壌の炭素蓄積量を精度よく推定する方法が開発できました。

火山灰以外の土壌への適用など、この手法をさらに改善することで、地球温暖化に関係する土壌炭素の蓄積量調査を簡便に実現していくことが可能になります。

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