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森林内の放射性セシウムの広域予測

2013年11月14日掲載

論文名

Predicted spatio-temporal dynamics of radiocesium deposited onto forests following the Fukushima nuclear accident.

(福島第一原子力発電所の放射能漏れ事故後に森林に降下した放射性セシウムの時空間的変動の予測)

著者(所属)

橋本 昌司(立地環境研究領域)、松浦 俊也(森林管理研究領域)、南光 一樹(立地環境研究領域)、Igor Linkov (US Army Engineer Research and Development Center)、George Shaw (The University of Nottingham)、金子 真司(立地環境研究領域)

掲載誌

Scientific Reports, 3, 2564, 2013年9月 DOI:10.1038/srep02564(外部サイトへリンク)

内容紹介

福島第一原子力発電所の事故により放射性セシウムで汚染された土地のおよそ7割が森林で、その汚染対策が課題となっています。本研究では、森林総研が行った森林内のセシウム分布状況調査をもとに、海外で利用されたモデルを改良し、事故後20年間について森林内の放射性セシウムの垂直的な動きを予測しました。さらに、このモデルと文部科学省の航空機モニタリングによる放射性セシウム分布図を利用して、関東~東北南部の広域における放射性セシウムの平面的な分布が時間とともに変化する様子を計算し、予測結果を地図上に表しました。その結果、事故後数年でほとんどの放射性セシウムが土壌へ移行し、その後は自然崩壊により放射能は減少し、放射能の高い範囲が縮小していくと考えられました。今回の計算結果によると、チェルノブイリ事故後に欧州で観測された結果よりも、日本では放射性セシウムの土壌への移行が速くなることが示唆されました。今回作成したモデルは、森林内の放射性セシウムが今後どのように変化するかを予測し、対策を立てる際に役立つと期待されます。

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