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更新日:2014年8月21日
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2014年8月21日掲載
論文名 |
山菜・キノコ採りがもたらす生態系サービスの評価 ―福島県只見町を事例に― |
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著者(所属) |
松浦 俊也(森林管理研究領域)、林 雅秀(東北支所)、杉村 乾(長崎大学)、田中 伸彦(東海大学)、宮本 麻子(森林管理研究領域) |
掲載誌 |
森林計画学会誌、47巻2号、2013年12月 |
内容紹介 |
東北地方の山村では山菜・キノコ採りが古くから盛んです。しかし、木材生産に比べて、山菜・キノコ採りは個々人が行うため、その森の恵み(生態系サービス)の大きさや分布を定量的に明らかにすることが困難でした。 そこで、現在でも山菜・キノコがよく採られている福島県只見町で複数集落の全310戸を対象とするアンケート調査と、のべ17名への2年間にわたる採取日誌調査を行い、採取と利用の実態を捉えました。さらに、主な種ごとの販売単価と採取重量を掛け合わせて経済価値を試算しました。その結果、60代以上の男性が採取の主体となり、ブナ林、渓畔林、雪崩低木林などの多雪山地のモザイク状の植生や微地形を場所や時期を変えつつ利用して、多種類を採取している実態が明らかになりました。春(5月、6月)と秋(9月、10月)のピーク時のみを合算すると、成人一人あたりの年間の収穫は、直販所の単価換算で少なくとも平均1~2万円、インターネット通販の単価換算では2~4万円の経済価値があると推定されました。この額は、全く採取しない人も含めた平均値なので金額的には低めになります。それでも、山菜・キノコ採取をしているのは、収入源としての重要性よりも、季節の味覚、健康増進や探す楽しみ、人にあげて喜ばれることを採取の理由とする人が多く、お金以外の要素が山菜・キノコ採りの活動を支えていることが分かりました。 |
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