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2014年9月4日掲載
論文名 |
宮城県宮城野区海岸林における地下水位の変動 |
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著者(所属) |
野口 正二(水土保全研究領域)、新山 馨(国際連携推進拠点)、田村 浩喜(秋田地域振興局)、田中 三郎((株)国土防災)、久保田 多余子・安田 幸生(東北支所) |
掲載誌 |
日本森林学会誌、96巻3号、日本森林学会、2014年6月 DOI:10.4005/jjfs.96.150(外部サイトへリンク) |
内容紹介 |
平成23年の東日本大震災は太平洋沿岸に甚大な津波被害をもたらし、海岸林は倒伏、幹折れ、根返りなどの壊滅的な被害を受けました。津波災害に強い新しい海岸林を造成するには、樹木の根系が土壌深くまで健全に発達する必要があり、そのためには、地下水から2~3m程度高い地盤を確保することが望ましいと提言されています。しかし、地下水位は季節によって変化するので、その推定は時間もかかり容易ではありません。 そこで、津波による被害が甚大であった宮城県の海岸林で、マツの被害状況を調べるとともに、地下水位の変化を毎日詳細に観測しました。その結果、これまでの知見と同様に、マツの根系の発達は、地下水位が高いと良くなく、地下水位の深さに依存することを確認しました。さらに、毎月の降水量と地下水位の最大値には相関関係があり、降水量から過去に溯って地下水位の季節変動を推測できることがわかりました。この関係を使えば、地面の掘削や通年の観測を行わなくとも、根系の発達可能な深度が推測でき、健全な根系の発達に必要な盛土の高さが計算できます。この成果は、津波に強い海岸林を造成することに役立つと期待されます。 |
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