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温暖化するとヤツバキクイムシの被害が増える恐れ

2014年10月2日掲載

論文名

北海道における地球温暖化によるヤツバキクイムシの世代数変化予測

著者(所属)

尾崎 研一(北海道支所)、上田 明良(九州支所)、澤野 真治(水土保全研究領域)

掲載誌

森林防疫 63巻4号、全国森林病虫獣害防除協会 2014年7月

内容紹介

ヤツバキクイムシは北海道のエゾマツ、アカエゾマツを枯らす被害を起こします。通常、1年に2回発生しますが、発生回数は気温によって変わり、発生回数が多いほど被害が出やすいと考えられます。そこで、温暖化の影響を予測しました。

まず、本種が卵から成虫まで発育するのにかかる日数と、温度との関係を明らかにしました。そして、この関係を用いて年間の発生回数を推定する方法を考案しました。この方法と気温の将来予測値を用いて北海道全域の発生回数を地図に記しました。その結果、現状では北海道内の85%の地域で年に2回発生しますが、それ以外の地域では年に1回の発生でした。それが、2000年代半ばになると、気温が上昇し年に3回発生する地域が出現し、2000年代の終わりには年3回発生する地域が道内の40%に広がると予測されました。以上の結果から、温暖化するとヤツバキクイムシの被害の増加が懸念されるため、本種による被害の監視と早期の対応が重要です。

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