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インドネシアでチークの盗伐を防ぐ ―林業会社と住民のパートナーシップを支えるファシリテーターの活躍―

2015年9月9日掲載

論文名

インドネシア林業公社による住民共同森林管理制度における住民組織への支援体制 ―マディウン営林署の事例におけるフィールド・ファシリテーターの役割―

著者(所属)

横田 康裕(九州支所)、原田 一宏(名古屋大学)、ロフマン・シルビ ヌル オクタリナ・ウィヨノ(ガジャマダ大学)

掲載誌

林業経済、66巻10号p2-19、林業経済研究所、2014年1月、ISSN番号0388-8614

内容紹介

インドネシアのジャワ島は、世界有数のチーク材の生産地ですが、1997/98年のアジア通貨危機の際には社会が混乱し、チークの盗伐被害が激増しました。そこで、チーク林を管理経営するインドネシア林業公社は、地域住民に盗伐対策に協力してもらおうと、地域住民との共同森林管理(林業パートナーシップ)に取り組むことにしました。対等な関係での「パートナーシップ」を実現するには、どのような住民支援の仕組みが有効なのかを私たちは探りました。

その結果、東ジャワ州マディウン県で調査した事例から、林業公社から委託を受けて住民支援活動を行う住民支援者(ファシリテーター)の重要な役割が浮かび上がりました。林業公社が地方行政・大学などと連携して住民を支援する中で、ファシリテーターは、林業公社職員の住民支援活動を補助するだけでなく、住民の意見を代弁して林業公社職員に伝え、林業公社と住民との間での良好な関係づくりや住民組織の自律的で活発な運営を促していました。

これまで、林業会社と住民との間での林業パートナーシップについては、会社が意思決定等において優位にあり、本来の「パートナーシップ」と呼べない事例が多いと言われてきました。しかし、今回の調査事例から、ファシリテーターが活躍することで、会社優位が緩和され、会社と住民のWin-Winの関係を実現することが可能であることが示されました。

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