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2015年9月9日掲載
論文名 |
1) Development of allometric equations for tree biomass in forest ecosystems in Paraguay (パラグアイの森林生態系の樹木バイオマス推定のためのアロメトリ式の開発) |
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著者(所属) |
1) 佐藤 保(森林植生研究領域)、斉藤 昌宏(元森林総研PD)、 Delia RAMÍREZ ・Lidia F. Pérez de MOLAS(アスンシオン国立大学)、 鳥山 淳平(温暖化対応推進拠点)、門田 有佳子(元森林総研PD)、 清野 嘉之(元森林総研COD)、Emigdio HEREBIA(アスンシオン国立大学)、Nora DUBIE ・Edgardo DURÉ VERA・Jorge David RAMIREZ ORTEGA(パラグアイ共和国国家林業院)、 Mirtha Vera de ORTIZ(アスンシオン国立大学) |
掲載誌 |
1) Japan Agricultural Research Quarterly (JARQ), 49 (3), 281-291, 2015年7月 |
内容紹介 |
REDD+は、途上国の森林減少・劣化に由来する温室効果ガス排出を削減する取り組みですが、そこでは実施国がいかに正確に森林炭素蓄積量を推定できるかが重要な鍵となります。森林炭素蓄積量の推定には樹木のバイオマス(重量)を把握する必要があり、アロメトリと言われる計算式を用いるのが一般的です。 これまでパラグアイ共和国では、森林のバイオマスを推定するのに熱帯林全域で使用できる既存の汎用アロメトリ式を用いていました。しかし、この汎用式は地下部バイオマス(根)を含んでいないことと、乾燥の厳しいパラグアイ西部では過小推定となる問題を含んでいました。森林総合研究所は、アスンシオン国立大学および国家林業院と共同で伐倒調査を行い、パラグアイ国内での主要な3つの森林タイプ(大西洋岸森林、湿潤チャコ林、乾燥チャコ林)のバイオマス推定に適したアロメトリ式を開発しました。また、乾燥チャコ林に生育する特異な幹の形をした樹種(Ceiba chodatii)専用のアロメトリ式も開発しました。これらアロメトリ式を用いることによって、パラグアイ国内の森林のバイオマスをより正確に推定することが可能となりました。 現在、パラグアイ国内で取り組まれている国家森林インベントリ事業では、今回開発されたアロメトリ式を用いてバイオマス推定が実施される予定となっており、本成果がパラグアイでのREDD+の推進に大きく貢献しています。
注) REDD+:「途上国における森林減少・森林劣化に由来する排出の抑制、並びに森林保全、持続可能な森林経営、森林炭素蓄積の増強」とされる途上国での森林減少・劣化を抑制する努力を評価する仕組み。 |
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