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2015年12月7日掲載
論文名 |
三好学「京都離宮ノ桜」に関するサクラの分類学的考察 |
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著者(所属) |
勝木 俊雄・岩本 宏二郎・加藤 珠理(多摩森林科学園)、中井 貞(京都府立植物園) |
掲載誌 |
植物園協会誌、50号、日本植物園協会、2015年11月(予定) |
内容紹介 |
サクラの栽培品種は、もともと野山に自生しているものではなく、人が作り出した植物です。江戸時代に多くの栽培品種が生み出され、その一部は現在でも伝統的な栽培品種として残されていますが、明治時代以降に失われたものも多いと考えられています。しかし、文献に残されている情報のほか、その詳細はほとんどわかっていません。 そこで、およそ100年前の1920年に東京大学の三好学教授が調査をおこなった資料をもとに当時のサクラについて、2014~2015年に京都府立植物園と共同調査をおこないました。京都御所や二条城など旧宮内省が管理していた京都の7カ所の庭園で三好は35件のサクラを記録しましたが、このうち、10件が現存していることが明らかになりました。 形態観察およびDNA変異分析を検討したところ、京都御所における「左近の桜」の現在の後継樹は、1920年当時の「左近の桜」から株分けなどによってクローン増殖されている可能性が高いと考えられました。一方、大宮御所に現存する‘御所大和桜’と‘大宮桜’は、いずれもほかでは見られない観賞価値が高い八重桜の栽培品種であり、明治時代以前に生まれていた貴重なサクラであることがわかりました。 このように、古い文献情報に最新の解析手法を加えることで、明治時代以前のサクラ栽培品種の実態解明につなげることができました。 |
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