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2015年12月24日掲載
論文名 |
カラマツ人工林における地掻き処理を伴った帯状皆伐による多樹種混交林の天然更新 |
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著者(所属) |
杉田 久志(四国支所)、高橋 利彦(木工舎「ゆい」)、猪内 次郎(フォレストサービス)、田口 春孝(小岩井農牧)、松木 佐和子(岩手大学) |
掲載誌 |
日本森林学会誌、97巻6号、日本森林学会、2015年12月 |
内容紹介 |
近年、人工林皆伐後に植栽を行わない再造林放棄地が増加し、水土保全機能や生物多様性の低下が危惧されています。皆伐後に天然更新により高木性樹種を更新させることができれば、森林の多面的機能を維持しながら、将来的には有用材生産も可能であると期待されますが、その事例は少なく、そのための方法もよくわかっていません。 カラマツ人工林では下層に広葉樹が多く混生しているところもみられ、そのような林分では皆伐後に広葉樹が萌芽で再生することが期待されます。また地掻き処理は実生の発生定着を促進することが知られています。皆伐と地掻き処理を組み合わせることにより、前生樹からの萌芽由来と伐採後に発生した実生由来の2つのメカニズムを同時に活かした更新が進む可能性があります。そこで、岩手県のカラマツ人工林で皆伐後に地掻き処理を併用した事例について更新状況を調査したところ、ミズナラなど伐採前から下層に存在した樹種が伐根からの萌芽により再生するとともに、カラマツ、ウダイカンバ、シラカンバ、アカマツなど、伐採前には下層に存在しなかった樹種も新たに加わっていました。 この結果は、カラマツ人工林伐採後に有用樹種を含む多様な樹種の混交林を更新させるのに、地掻きが有効な手段となり得ることを示しており、人工林を天然林へと誘導する技術の向上に応用できると期待されます。 |
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