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若齢針葉樹に猛禽類を営巣させる

2016年1月13日掲載

論文名

中型猛禽類の営巣誘導 ―太枝がない若齢針葉樹における試み―

著者(所属)

工藤 琢磨(東北支所)、鈴木 貴志(環境コンサルタント株式会社)

掲載誌

日本森林学会誌97巻5号、225-231、日本森林学会、2015年10月、DOI:10.4005/jjfs.97.225(外部サイトへリンク)

内容紹介

中型猛禽類の保全と林業を両立させることは困難と考えられてきました。中型猛禽類が営巣する森林が伐採により消失し、生息地域が減少する事例が数多く報告されてきたからです。中型猛禽類の営巣には、土台となる太枝が発達し、巣の出入りができる1m3ほどの空間が形成されやすい、すなわち、営巣適木の条件を満たす大きな針葉樹が必要です。しかしこのような条件を満たす針葉樹人工林は多くはありません。そこで、太枝が未発達な若齢針葉樹に、太枝の代わりに木材を組み合わせた土台を幹にステンレスベルトで固定し、その上に細枝をロックタイでまとめた深皿のような形の人工巣を設置し、中型猛禽類の営巣を誘導することができるか検証実験を行いました。

この結果、人工巣へオオタカとトビそれぞれ1つがいが誘導され営巣しました。若齢や間伐遅れのために太枝が発達していない針葉樹でも、営巣適木の条件を満たすように人工巣を設置すれば、中型猛禽類の営巣を誘導することが可能であることを証明しました。中型猛禽類は、巣に接近する人が多いと繁殖をやめてしまうことがあるので、人が頻繁に出入りする森林を避けて人工巣を設置することが大事です。

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