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若齢から高齢まで樹木の成長を正確に予測するモデルを開発

2016年1月13日掲載

論文名

A novel growth model evaluating age–size effect on long-term trends in tree growth (樹齢-サイズ効果を取り入れた画期的な樹木成長モデルの開発)

著者(所属)

松下 通也(林木育種センター海外協力部)、高田 克彦(秋田県立大学)、櫃間 岳(森林植生研究領域)、八木橋 勉・野口 麻穂子・柴田 銃江(東北支所)、正木 隆(森林植生研究領域)

掲載誌

Functional Ecology, 29(10):1250-1259, 2015年10月、 DOI:10.1111/1365-2435.12416(外部サイトへリンク)

内容紹介

長寿命で、かつ大きく育つ樹木の成長のしくみは複雑です。一般に、大きな木ほど葉の量も多いので光合成量が多いはずですが、その一方、根からの水が葉に行き渡りにくくなる、高齢化によって枝葉の活性が低下するなど、加齢・巨大化にともなうマイナスの側面もありえます。そこで本研究では、木の大きさと樹齢の影響を同時に評価して樹木の成長を分析するモデルを開発しました。さらにそれを拡張することで、隣接木との競争関係や個々の樹木の個性なども考慮できるようにしました。

その結果、樹齢と胸高直径の両方のデータを用いることで非常に高い精度で直径成長を予測できることがわかりました。また、加齢によって樹木の直径成長が鈍化すること、若齢林のデータだけから得られた従来の成長予測モデルでは高齢林の成長を過大に予測していたこと、隣接する木との込み具合によって生じるスギの成長鈍化は他の樹種よりも甚だしいことなど、興味深い知見が得られました。

このモデルは汎用性があり、間伐効果の予測をはじめ、林分を混交林化したときの成長の予測、将来の気候変動への成長応答の予測など、さまざまな場面に役立てることができます。

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