研究紹介 > 研究成果 > 研究成果 2017年紹介分 > 振動でカミキリムシが不動化するメカニズムを解明
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2017年1月12日掲載
論文名 |
Substratevibrations mediate behavioral responses via femoral chordotonal organs in acerambycid beetle (カムキリムシにおいて振動は腿節内弦音器官を通じて行動反応を誘発する) |
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著者(所属) |
高梨 琢磨(森林昆虫研究領域)、深谷 緑(東京大学)、中牟田 潔(千葉大学)、Niels Skals(コペンハーゲン大学)、西野 浩史(北海道大学) |
掲載誌 |
Zoological Letters 2:18, August 2016、 DOI:10.1186/s40851-016-0053-4(外部サイトへリンク) |
内容紹介 |
昆虫は、振動を感じると体を全く動かさなくなる「不動化」を起こすことがあります。これは鳥等による捕食を避けるためです。マツ材線虫病の媒介昆虫であるマツノマダラカミキリは、肢に内在する弦音器官という感覚器で振動を感じ、不動化を起こすことが報告されています。そこで今回、弦音器官の構造と機能を詳しく調べました。 マツノマダラカミキリの肢の神経に蛍光色素を注入したところ、60~70個の神経細胞からなる大きな弦音器官が腿節という肢の根元側の部位にあり、肢の他の部位には少数の神経細胞からなる小さな弦音器官しかありませんでした。また、腿節の弦音器官を手術により取り除いたマツノマダラカミキリは振動による不動化を起こしませんでした。大きな弦音器官は、全ての神経細胞が1本の細長く硬い内突起につながっていました。以上より、マツノマダラカミキリは肢の接地面からの振動を、内突起を通じて弦音器官で感じ取っていることが分かりました。 本成果を応用して、振動により害虫の行動を操作する防除法の開発や内突起を持つ弦音器官の構造をモデルとした新しい振動センサーの開発が期待されます。
図:振動は肢と内突起を通じて、弦音器官の神経細胞に伝わり、マツノマダラカミキリの不動化を起こす。 |
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