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歩行振動の観点から木造校舎等の床の設計目標を示しました

2017年4月18日掲載

論文名

木造校舎および事務所の床の鉛直荷重に対する性能と歩行振動に対する感覚評価との関係(第1報)木造大スパン床の静的および振動性状
木造校舎および事務所の床の鉛直荷重に対する性能と歩行振動に対する感覚評価との関係(第2報)歩行振動の感覚評価による木造大スパン床の設計目標提案の可能性

著者(所属)

(第1報)杉本 健一(構造利用研究領域)、中村 昇(秋田県立大学木材高度加工研究所)、藤野 栄一(職業能力開発総合大学校)、佐野 泰之(愛知工業大学)、新藤 智(法政大学)、鎌田 貴久(日本大学)、宇京 斉一郎(構造利用研究領域)、権田 将也(三井ホーム)
(第2報)杉本 健一(構造利用研究領域)、中村 昇(秋田県立大学木材高度加工研究所)、佐野 泰之(愛知工業大学)、藤野 栄一(職業能力開発総合大学校)、新藤 智(法政大学)、鎌田 貴久(日本大学)、宇京 斉一郎(構造利用研究領域)、権田 将也(三井ホーム)

掲載誌

(第1報)木材学会誌、62巻4号、101-107、日本木材学会、2016年7月、DOI:10.2488/jwrs.62.101(外部サイトへリンク)

(第2報)木材学会誌、63巻2号、98-107、日本木材学会、2017年3月、DOI:10.2488/jwrs.63.98(外部サイトへリンク)

内容紹介

木材利用推進の観点から中・大規模構造物の木造化が注目されていますが、そのための設計資料が充実しているとは言えません。中・大規模木造では大きな部屋を設けたり、不特定多数の人が使用したりすることが多いことから、床上を人が歩いた時の振動(歩行振動)が問題とされています。しかし、歩行振動の少ない床を実現するための設計方法についての研究は不足していました。

そこで、実在する4つの木造校舎と2つの木造事務所の床を対象に、建物に組み込まれた状態の床梁の曲げ性能を調べました。次に、部屋の端から端まで一人が歩行した時の振動を測定し、同時に歩行経路の周りにいた人に振動が気になるかどうかを聞きました。その結果、歩行によって生じる床の加速度を3~4cm/s2に設定すれば、65%の人が歩行振動を許容できること、そのような床を設計するためには床梁のたわみをL/500~L/600(L:スパン注)、単位mm)に、床の固有振動数を12Hzにすればよいことが分かりました。

木造教室等の床の歩行振動評価と床梁のたわみ制限とが結びつけられ、歩行振動の観点からも設計目標を示しました。

注)床梁を両端で支える柱と柱の間の距離。

 

 

写真 歩行振動測定と、振動が気になるかどうかを回答している様子

写真 歩行振動測定と、振動が気になるかどうかを回答している様子

(写真中央の左足を一歩踏み出した人が歩行者。それ以外の立っている人、座っている人は回答者の一部)

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