研究紹介 > 研究成果 > 研究成果 2017年紹介分 > どうして地震後に雨による山崩れが発生しやすいのか
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2017年4月28日掲載
論文名 |
2008年岩手・宮城内陸地震後の降雨により崩壊が発生した山地斜面の地形的特徴 |
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著者(所属) |
村上 亘・大丸 裕武(森林防災研究領域)、金子 守男(林野庁関東森林管理局) |
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掲載誌 |
日本地すべり学会誌、54巻1号、3-12、日本地すべり学会、2017年1月、DOI:10.3313/jls.54.3(外部サイトへリンク) |
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内容紹介 |
大きな地震の後に降雨による崩壊が起こりやすくなる現象は、1923年の関東大震災や1995年の阪神淡路大震災をはじめとして数多く報告されていますが、そのメカニズムについては、不明の点が多く残されています。私たちは2008年岩手・宮城内陸地震の発生後に降雨による崩壊がみられた岩手県の山地で、地震発生後の詳細な地形データの時系列解析と現地調査を行い、地震が斜面に与えた影響を詳しく調べました。 調査の結果、地震後の降雨による崩壊の多くは、地震動によって新たな亀裂が発生するなど、なんらかの変形がみられた斜面で発生していることがわかりました。同様の変形が見られた斜面において、地盤の堅さを調べる簡易貫入試験や掘削断面の観察を行ったところ、地表付近の風化層の中に指で押せばへこむような硬さしかない弱層が形成されていることが確認されました。このような亀裂や弱層は地震動で斜面の一部がずり落ちたために形成されたものと考えられます。 本研究では、地震動が斜面表層の風化層に与えた影響を具体的な形で観察出来ましたが、このような弱層の形成は他の地震でも起きている可能性は十分考えられます。2016年に発生した熊本地震においても降雨後の崩壊発生が心配されており、林野庁では航空機レーザー測量で計測した詳細な地形データを元に、地震被災地の二次崩壊危険箇所の早期発見に取り組んでいます。本研究の成果は、阿蘇地域のように地震後に再度の崩壊発生が懸念される地域の防災対策に役立て行く予定です。
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