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2017年12月5日掲載
論文名 |
Forest edge effect in a radioactivity contaminated forest in Fukushima, Japan. (福島の放射能に汚染された森林における林縁効果) |
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著者(所属) | 今村 直広(震災復興・放射性物質研究拠点PD)、小林 政広(立地環境研究領域)、金子 真司(震災復興・放射性物質研究拠点) |
掲載誌 |
Journal of Forest Research、 DOI:10.1080/13416979.2017.1396417(外部サイトへリンク) |
内容紹介 |
福島原発事故により大量に放出された放射性物質が広く森林を汚染しました。森林での活動や対策のためには、放射性物質の存在量を正確に把握することが求められますが、空間的なバラツキが大きく、その要因を明らかにすることが求められています。 乾性沈着注)による放射性物質の流入が多かった福島県川内村の農地や低木に囲まれた平均樹高19mのスギ林とその周辺で、空間線量率の分布を調査したところ、福島第一原発に面した東側の林縁から20mの範囲において、空間線量率が1.9倍から4.5倍高くなる林縁効果が認められました(図)。本研究により、福島原発事故による森林の放射性物質の分布要因の一つに、林縁効果が影響していることが明らかになりました。 本研究により、乾性沈着による放射性物質の流入が多かった森林では、福島原発側の林縁部を重点的に除染することで林業従事者の被曝を低減することや、林縁部での林産物の生産や森林レクリエーション利用を控えるという対応に役立つと期待されます。 注) 乾性沈着:降水による沈着ではなく、ガスや粒子状態での沈着形態のこと。 図:調査地内の空間線量率の分布 白丸は空間線量率の測定地点、矢印はプルームの移流方向を示す。 |
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