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植物に吸収されやすい放射性セシウムは土壌から急速に減少していた

2019年6月25日掲載

論文名

Six-year trends in exchangeable radiocesium in Fukushima forest soils(福島の森林土壌における交換態放射性セシウムの6年間の変動)

著者(所属)

眞中 卓也・今村 直広(立地環境研究領域)、金子 真司(関西支所)、三浦 覚(震災復興・放射性物質研究拠点)、古澤 仁美・金指 努(立地環境研究領域)

掲載誌

Journal of Environmental Radioactivity、203:84-92、July 2019 DOI:10.1016/j.jenvrad.2019.02.014(外部サイトへリンク)

内容紹介

2011年の東京電力福島第一原発事故により、大量の放射性セシウムが福島の森林に沈着しました。現在、放射性セシウムのほとんどは表層土壌にとどまっていますが、一部の材では放射性セシウムが検出されています。私たちは、事故以来6年間毎年採取されてきた福島の森林土壌を使って、植物が吸収しやすい形態の交換態放射性セシウム(註)量を測定しました。その結果、落葉層や鉱質土壌表層における全放射性セシウムに占める交換態放射性セシウムの割合は、事故後5ヶ月の時点で10%以下で、さらに時間の経過とともに指数関数的に減少していくことが明らかになりました。これは時間とともに植物が吸収しやすい形態のセシウムがより少なくなっていることを示しています。この成果は、樹木の放射性セシウム汚染のメカニズムを解明し、将来予測を行う上で、非常に重要な知見となります。

(註)土壌の粘土鉱物や有機物表面の負電荷に静電的に吸着した状態で存在し、土壌水中に放出されやすい。

(本研究は2019年2月にJournal of Environmental Radioactivity誌にオンライン公表されました。)

 

図:森林土壌の交換態放射性セシウムの割合の経年変化

図:森林土壌の交換態放射性セシウムの割合の経年変化(川内村スギ林の例)

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