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将来の人口減少で森林の分布はどう変わるか

2019年7月8日掲載

論文名

High-resolution national land use scenarios under a shrinking population in Japan (人口減少下の日本における高解像度の土地利用シナリオ)

著者(所属)

大橋 春香(国際連携・気候変動研究拠点)、深澤 圭太・有賀 敏典(国立環境研究所)、松井 哲哉(国際連携・気候変動研究拠点)、肱岡 靖明(国立環境研究所)

掲載誌

Transactions in GIS、March 2019 DOI:10.1111/tgis.12525(外部サイトへリンク)

内容紹介

わが国の人口は2010年以降減少しており、2060年には現在の3分の2の水準にまで減るとされています。人口減少による土地利用の変化は、生態系サービスの質や量の変化をもたらすことから、人の生活にも様々な影響を及ぼすことになります。一方で、このような変化は、農地や建物用地として利用されなくなった土地に有用樹種を植栽するなど、積極的に森林化を進めて多面的機能を発揮させることにより、地域の発展につなげる機会ともとらえることができます。このような土地利用の誘導指針を事前に検討するためには、将来の人口減少がもたらす土地利用の変化を予測することが不可欠です。

本研究では、人口密度や地形などの情報から1km2メッシュ単位で土地利用を予測する機械学習モデルを開発しました。このモデルを用いて「人口集中化」と「人口分散化」の2通りの将来人口シナリオのもとで、土地利用がどのように変化するかを推定しました。その結果、人口集中化シナリオでは、都市部への建物用地の集中と同時に農村部で森林や荒地が拡大することがわかりました。一方、人口分散化シナリオでは、農村部で森林と農地が混在するモザイク状の景観構造が広く維持されることがわかりました。

本研究の成果は、生態系サービスの将来変化予測や、人口減少下での気候変動適応策立案のための基盤情報となります。

(本研究は2019年3月8日にTransacion in GIS誌にオンライン公表されました。)

 

図:2010年から2050年までの森林・荒地の増減率

図:今回開発した土地利用モデルにより予測された2010年から2050年までの森林・荒地の増減率。人口集中化シナリオでは森林や荒地の面積が増大するメッシュが多いのに対し(左)、人口分散化シナリオでは、森林・荒地の面積が減少するメッシュが都市近郊域で多くなると予測されました(右)。

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森林総合研究所 研究ディレクター 平田 泰雅
【研究担当者】
森林総合研究所 国際連携・気候変動研究拠点 大橋 春香
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