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途上国の森林保全に日本企業が示す関心と障壁

2019年7月10日掲載

論文名

REDD+ engagement types preferred by Japanese private firms: The challenges and opportunities in relation to private sector participation. (日本企業のREDD+参画形態の選好調査:民間参画の機会と課題)

著者(所属)

江原 誠(国際連携・気候変動研究拠点)、鮫島 弘光・山ノ下 麻木乃(地球環境戦略研究機関)、淺田 陽子・正垣 裕太郎・矢野 雅人(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社)、百村 帝彦(九州大学)

掲載誌

Forest Policy and Economics 106 September 2019 101945 DOI:10.1016/j.forpol.2019.06.002(外部サイトへリンク)

内容紹介

REDD+(レッドプラス)は、途上国での森林減少・劣化の抑制等によるCO2排出削減や、持続可能な森林経営等によるCO2吸収に対し、何らかの経済的インセンティブを与えるメカニズムです。REDD+が実施段階を迎え、公的資金に加え民間資金を取り込むことが必要になっています。このため、わが国は、主にREDD+クレジット取引で利潤獲得を目指す企業を対象にREDD+への民間参画を支援してきました。

本研究では、全国の証券取引所に上場する大企業を主な調査対象として、どのような目的や形態でREDD+への参画を望んでいるかについてのアンケート調査を実施しました。その結果、全国には企業の社会的責任(CSR)や企業価値の向上を意識してREDD+に関心を示す企業も一定数存在することを突き止めました。また、企業がREDD+へ参画するには、REDD+クレジットに対する需要の見通しの不透明さや、森林保全の大切さをわかりやすく顧客に伝える方法の不足などがREDD+参画への障壁であることが明らかになりました。こうした課題に対しては、森林保全に関心のある企業と現地政府・NGO等とのマッチング支援や、単独では保全活動が難しい企業を束ねて活動を実施可能にするしくみの構築といった対策をとることが重要です。本研究成果により、REDD+への民間参画を促進する施策の選択肢が増え、我が国および途上国の森林管理による気候変動対策の立案に大きく貢献することが期待されます。

(本研究は2019年6月にForest Policy and Economics誌にオンライン公表されました。)

 

表1:日本企業がREDD+参画に躊躇する障壁と対策

表1:日本企業がREDD+参画に躊躇する障壁と対策

UNFCCC:気候変動枠組条約
JCM:二国間クレジット制度
MRV:温室効果ガス排出・吸収量の測定、報告、検証

お問い合わせ先
【研究推進責任者】
森林総合研究所 研究ディレクター 平田 泰雅
【研究担当者】
森林総合研究所 国際連携・気候変動研究拠点 江原 誠
【広報担当者】
森林総合研究所 広報普及科広報係
【取材等のお問い合わせ】
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電話番号:029-829-8377(受付時間:平日9時30分~12時、13時~16時30分)

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