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2020年1月31日掲載
論文名 |
Combined simultaneous enzymatic saccharification and comminution (SESC) and anaerobic digestion for sustainable biomethane generation from wood lignocellulose and the biochemical characterization of residual sludge solid(木質系リグノセルロースから持続可能なバイオメタン製造のための同時糖化湿式粉砕処理と嫌気発酵の組み合わせ、および発酵残渣の生化学的分析) |
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著者(所属) |
Ronald R. Navarro(元森林総合研究所PD)、大塚 祐一郎(森林資源化学研究領域)、松尾 健司(広島大学)、佐々木 慧・佐々木 健(広島国際学院大学)、堀 知行・羽部 浩(産業技術総合研究所)、中村 雅哉(森林資源化学研究領域)、中島田 豊(広島大学)、金原 和秀(静岡大学)、加藤 純一(広島大学) |
掲載誌 |
Bioresource Technology、300、122622、March 2020 DOI:10.1016/j.biortech.2019.122622(外部サイトへリンク) |
内容紹介 |
メタン発酵は、その過程が単純なため設備が安価で環境負荷が少なくてすみます。一方で、原料が家畜糞尿や食品残渣であるため、安定確保が難しく、大規模なメタン発酵施設は普及していません。しかし、木材を主原料としてメタン発酵ができるようになれば、森林大国である日本では原料の確保が容易になり、メタン発酵施設の大規模化が可能になります。 そこで我々は福島県南相馬市にメタン発酵実証実験施設を設置して、世界で初めて木材を主原料としたメタン発酵を実証規模(500L)で安定的に運転する条件を明らかにしました(図1)。この時、家畜糞尿からメタンガスを生成する場合の微生物組成は、木材成分にすると大きく変化しました(図2)。 木材を原料としたメタン発酵残渣においては、木材の主要ポリフェノール成分であるリグニンが多く含まれていましたが、これらは変性が少なく芳香族物質に分解しやすいものでした。これら芳香族物質は微生物発酵により工業原料にもなり、発酵残渣の高付加価値利用にもつながります。 (本研究はBioresource Technology誌にオンライン公表されています。)
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