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2種の国産トリュフはすむ場所の好みが違う

2020年4月8日掲載

論文名

(1)日本における2種のトリュフ (アジアクロセイヨウショウロおよびホンセイヨウショウロ) の生息地の土壌特性

(2)Influence of pH on in vitro mycelial growth in three Japanese truffle species: Tuber japonicum, T. himalayense, and T. longispinosum(日本のトリュフ3種(ホンセイヨウショウロ、アジアクロセイヨウショウロ、イボセイヨウショウロ)の菌糸成長に及ぼすpHの影響)

著者(所属)

(1)古澤 仁美(立地環境研究領域)、山中 高史(研究ディレクター)、木下 晃彦(九州支所)、仲野 翔太(きのこ・森林微生物研究領域)、野口 享太郎(東北支所) 、小長谷 啓介(きのこ・森林微生物研究領域)

(2)仲野 翔太(きのこ・森林微生物研究領域)、木下 晃彦(九州支所)、小長谷 啓介・中村 慎崇(きのこ・森林微生物研究領域)、古澤 仁美(立地環境研究領域)、野口 享太郎(東北支所)、山中 高史(研究ディレクター)

掲載誌

(1)森林総合研究所研究報告、19巻1号、55-67、森林総合研究所、2020年3月

(2) Mycoscience、Volume61(2)、58-61、2020年3月 DOI:10.1016/J.myc.2019.12.001(外部サイトへリンク)

内容紹介

独特の風味を有するトリュフは、西洋料理において高級食材とされるきのこです。近年、我が国においても食材として有望なトリュフが生息していることがわかり、人工栽培を目指す研究を開始しました。まず初めに、これらのトリュフが生息する土壌の特徴を調べました。その結果、アジアクロセイヨウショウロ(黒トリュフ)の生息地土壌は、pHが6から8と広い範囲にあり、また植物や菌が利用しやすい養分(交換性陽イオン)が多く含まれていました。一方、ホンセイヨウショウロ(白トリュフ)の生息する土壌は、pHが5から6で利用しやすい養分が乏しい傾向にありました。

次に、これらのトリュフの菌株を得て、液体培地で培養し、菌糸の生育に適したpHを調べました。その結果、黒トリュフはpH7で菌糸が良好に生育する一方で、白トリュフの生育はpH5〜6で良好でした。このようにトリュフが生息する土壌は2種で異なり、それぞれの種がこれらの土壌環境に適応していることが判りました。この結果に基づいて、トリュフ菌の生育を制御して人工栽培技術の確立に向けた研究に取り組んでいきます。

(本研究は2020年3月に森林総合研究所研究報告に公表および2019年12月19日Mycoscienceにオンライン公表されました。)

 

写真:アジアクロセイヨウショウロ(黒トリュフ) 写真:ホンセイヨウショウロ(白トリュフ)

写真:(左)アジアクロセイヨウショウロ(黒トリュフ)、(右)ホンセイヨウショウロ(白トリュフ)、スケールバーは5cm。

 

図:日本産トリュフにおける生息地の土壌pHの範囲と、異なるpHで培養したときの菌糸の成長量

図:日本産トリュフにおける生息地の土壌pHの範囲と、異なるpHで培養したときの菌糸の成長量。

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森林総合研究所 研究ディレクター 山中 高史
【研究担当者】
森林総合研究所 立地環境研究領域 古澤 仁美
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