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2020年8月28日掲載
論文名 |
Causal Analysis of Accuracy Obtained Using High-resolution Global Forest Change Data to Identify Forest Loss in Small Forest Plots. (小規模所有が主要な地域における高解像度森林変化抽出データの精度の検証と因果分析) |
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著者(所属) |
山田 祐亮(森林管理研究領域)、大久保 敏宏(早稲田大学)、志水 克人(森林管理研究領域) |
掲載誌 |
Remote Sensing, 12(15), 2489, August 2020 DOI:10.3390/rs12152489(外部サイトへリンク) |
内容紹介 |
近年我が国では、造林放棄や違法伐採が問題となっており、森林伐採地を特定する手法の確立が急がれます。広域を対象に伐採地を特定するために、衛星画像から森林損失マップを作成しますが、これは比較的安価に時系列で伐採地を特定できます。なかでも、Global Forest Change (GFC, Hansenら Science 342:850-853, 2013:グローバル森林マップ)データセットは空間分解能30mで全地球をカバーする、一般に公開された森林損失マップで年に一回データが更新されます。しかし、我が国のように伐採面積が小さくなりがちな小規模所有の多い森林では、GFCデータセットによる伐採地検出精度はこれまで評価されていませんでした。 そこで九州の某市を対象として、GFCデータセットの精度を検証しました。その結果、GFCデータセットは、全体の伐採地1480箇所のうち11.1%しか見つけられていませんでした。また、伐採面積が小さいほど検出精度が低くなることがわかりました。 この結果より、GFCデータセットは小面積伐採が多い我が国では森林管理上十分な精度を得られないことがわかりました。森林伐採を正確かつ効率的に把握することは健全な林業の発展と持続的森林管理のために必要不可欠です。本研究は、より高分解能の衛星画像を使うことを含め、小面積伐採地も特定可能な手法の開発が必要である事を示しています。
(本研究は2020年8月にRemote Sensing で公表されました。)
図:(a)実際の伐採個所と(b) GFCデータで特定された伐採個所の比較。背景は伐採後(2017年)のLandsatコンポジット衛星画像。GFCデータでは各画像の右下にある2ヶ所の小面積の伐採地が特定できていない。(記載論文の図を一部改変して使用)。 |
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