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2021年1月22日掲載
論文名 |
Vertical distributions of radiocesium in Japanese forest soils following the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant accident: A meta-analysis.(福島第一原発事故後の日本の森林土壌における放射性セシウムの鉛直分布:メタ解析) |
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著者(所属) |
今村 直広(立地環境研究領域)、小松 雅史(きのこ・微生物研究領域)、橋本 昌司・藤井 一至(立地環境研究領域)、加藤 弘亮(筑波大学)、Yves Thiry(ANDRA)、George Shaw(University of Nottingham) |
掲載誌 |
Journal of Environmental Radioactivity、225、106422、2020年9月 DOI:10.1016/j.jenvrad.2020.106422(外部サイトへリンク) |
内容紹介 |
森林土壌に沈着した放射性セシウムは、落葉層から鉱質土壌層へ移行し、さらにゆっくりとその下層へ移動することが知られています。このような森林土壌内の放射性セシウムの移動速度を明らかにすることは、被ばく線量や樹木の吸収量を評価することにつながり、今後の森林利用を考えるうえで重要な情報となります。 著者らは、東日本99箇所の森林土壌の調査データを用いて、土壌中の放射性セシウムのうち落葉層に存在する割合と鉱質土壌層に分布する放射性セシウムの深さの中心を解析しました。その結果、事故翌年の2012年には土壌表層の落葉層中にあった放射性セシウムの約7割が、その下の鉱質土壌層へと移行し(図1)、その後は鉱質土壌層内でさらに下層へと移動していました。今回の調査から、放射性セシウムの落葉層から鉱質土壌層への移動や鉱質土壌内の下層への移動速度はチェルノブイリ事故に比べて速いことが明らかになりました(図1)。これは落葉層の特徴や気候、初期沈着の物理化学的形態の違いのためと考えられます。 福島原発事故から10年が経とうとしています。これまで得られたデータを経時的に解析し、チェルノブイリ事故時の結果と比較することで、日本の森林生態系における放射性セシウムの動きをより正確に予測することが可能になります。
(本研究は、2020年9月にJournal of Environmental Radioactivityにおいて公表されました。)
図1:落葉層から鉱質土壌層への放射性セシウムの動き。チェルノブイリと福島原発事故の発生年、1年後、4年後における、土壌(落葉層+鉱質土壌層)のうち落葉層に存在する放射性セシウムの割合。割合が低いほど、放射性セシウムが鉱質土壌層に存在することを示す。図は値を小さい順に並べ、下線が最小値、箱の下線が全体の1/4の値、太線が中央値、箱の上線が全体の3/4の値、上線が最大値を示す。円は外れ値を示す。 |
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