研究紹介 > 研究成果 > 研究成果 2021年紹介分 > 樹体を「センサー」とした風荷重計測手法の開発
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2021年2月5日掲載
論文名 |
A method for measuring the forces acting on a tree trunk using strain gauges (林木の幹に作用する荷重の、ひずみゲージを用いた計測手法) |
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著者(所属) |
宮下 彩奈・鈴木 覚(森林災害・被害研究拠点) |
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掲載誌 |
PLoS ONE, January 2021 DOI:10.1371/journal.pone.0245631(外部サイトへリンク) |
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内容紹介 |
間伐直後の林木が強風による倒木などの被害(風害)を受けやすいことは経験的によく知られています。しかし、具体的な施業内容と風害リスクとの関係は明らかではありません。施業によって林木が風から受ける力(風荷重、写真1)がどのように変化するかを実測できれば良いのですが、林木に作用する風荷重は常に変化しており、それを測定可能な計測技術はありませんでした。 本研究では、複数のひずみゲージ注釈で幹のひずみを検出し、ひずみ方から林木が受けた風荷重の大きさ、重心位置、方向を計測する手法を開発しました。この手法の利点は、実際の木を扱う上で直面しがちな問題に対処できることです。例えば、幹の材質は場所によって均一ではないため、同じ力がかかった場合でも場所ごとのひずみ方が異なります。また、幹の表面の狙った位置に正確にひずみゲージを貼り付けるのは困難です。独自に考案した補正技術でこれらの問題を克服することが可能となり、実験室での荷重試験において、スギの稚樹(写真2)では、荷重の大きさと重心位置は2%程度の誤差、荷重の方向は2度未満の誤差で測定できました。 この手法は、林木に作用する風荷重を実測する初の技術であり、風害が発生するリスクを評価するための基盤技術となるものです。また、林木自体を「風荷重センサー」とするものでもあり、森林内の多点で測定することによって森林周辺の大気の動きの解明にも役立ちます。
注釈:ひずみゲージは、材料の変形を検出する薄いシート状のセンサー(写真2)
(本研究は、2021年1月にPloS ONEにおいて公表されました。)
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