研究紹介 > 研究成果 > 研究成果 2021年紹介分 > 外部被ばくからみた山菜・きのこ採り再開可能性の推定
ここから本文です。
2021年3月15日掲載
論文名 |
Assessment of potentially reusable edible wild plant and mushroom gathering sites in eastern Fukushima based on external radiation dose. (福島県東部における外部被ばく線量に基づく山菜・きのこ採取地の再利用可能性の評価) |
---|---|
著者(所属) |
松浦 俊也(東北支所) |
掲載誌 |
Journal of Environmental Radioactivity、227、106465、December 2020 DOI:10.1016/j.jenvrad.2020.106465(外部サイトへリンク) |
内容紹介 |
原発事故の放射能汚染は、地域の人々から山菜・きのこ採取の機会を奪ってしまいました。そこで、外部被ばくのおそれから天然山菜・きのこ採りが難しくなった場所と、再び訪問できるまでの年数を予測しました。対象地は、福島第一原発の南西12~30km圏に位置する福島県双葉郡川内村です。まず、事故前に山菜・きのこ採りをよくしていた方々11名に対面アンケートを実施し、地理情報システム(GIS)を用いて、主な山菜ときのこ各3種類について、かつてよく採りに行っていた場所(採取適地)の特徴を調べました。さらに、2050年までの空間線量率の低下を予測した上で、採取地への訪問を1日8時間と仮定して訪問頻度をいくつか想定し、訪問による外部被ばく量が国の基準値(年間1ミリシーベルト)未満となる範囲が広がっていく様子を推定しました。 その結果、山菜・きのこの種類ごとに、かつての採取適地の分布特徴(地形、植生、道からの距離)を地図化できました(図1)。また、空間線量率が低下していくなかで、訪問頻度を調整すれば、外部被ばく量を低く抑えられ、訪問を再開できる場所が広がっていくことが分かりました(図2)。今後、山菜・きのこを食べた場合の内部被ばく量の評価と併せることで、安全に採取を再開できる時期が予測可能になると考えています。
(本研究は2020年12月にJournal of Environmental Radioactivityで公表されました。)
図2:外部被ばく線量が国の基準値未満となり訪問を再開できる割合(%)の変化。山に入る頻度の違いを色で、採取対象種の違いを記号で示しています。種ごとの採取適地分布の違いの影響が僅かにみられるものの、空間線量率の低下のなかで、低頻度の訪問ならより早期の再開が期待できます。 |
お問い合わせ先 |
【研究推進責任者】 |
お問い合わせ
Copyright © Forest Research and Management Organization. All rights reserved.