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2021年3月29日掲載
論文名 |
CLTパネル相互を帯金物とスプラインで接合した床構面の面内性能に関する研究 接合部性能が床構面の耐力および剛性に及ぼす影響 |
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著者(所属) |
鈴木 賢人・野田 康信・井道 裕史・宇京 斉一郎・杉本 健一(構造利用研究領域)、神谷 文夫(セイホク(株))、中越 隆道((一社)日本CLT協会) |
掲載誌 |
日本建築学会構造系論文集、第86巻、第781号、pp.457-467、日本建築学会、2021年3月 |
内容紹介 |
直交集成板(CLT)は、近年国内でも生産され、注目されている厚く大きな板状の新しい木質材料です。 本研究では、4枚のCLTをつなげて約7.4m×約3.6mの床を造り、これに地震を模した力を与える実験を行い、耐震性能(強さや変形しにくさ等、値が大きいほど優れている)を調べました。その結果CLT床は、同じ大きさの床で比較すると、木造の他の構法で造った場合に比べて高い耐震性能をもつことがわかりました。 建物の床をCLTで造る際、建物や部屋の大きさに応じて、CLTの大きさや必要枚数、ビスや金物の使用個数は、今回の実験と異なる場合がほとんどであり、同じ地震力を受けたとしても、床全体の動きが同じになるとは限りません。これら無数に存在する全ての組み合わせを実験で確認することは現実的ではありません。そこで、使用する金物等の個数・性能が異なる場合のCLT床の耐震性能を簡単な計算で予測できる方法を構築しました。 さらに、CLT床が一体となって地震に抵抗するのに十分なかたさを持った床(剛床)となるための条件を示しました。適用範囲はあるものの、これは、CLT床の構造設計を単純化することに役立ちます。
(本研究は2021年3月、日本建築学会構造系論文集で公表されました。)
写真:床の実験の様子。 床の側面から地震を模した力を与え、どのくらい変形するのか?どのくらいの力まで耐えられるのか?どこがどのように壊れるのか?等を調べ、明らかにしました。
図1:計算による耐震性能の予測方法。床にかかる力と変形の関係を予測できるようになりました。
図2:床をつくるときに使う金物の性能や個数の変化によって、床の性能がどのように変化するのか明らかにしました。
図3:床のかたさが不十分だと建物が想定した耐震性能を発揮できない可能性があり、構造設計が複雑化します。 |
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