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2021年4月14日掲載
論文名 |
Phylogenetic placements and cultural characteristics of Tuber species isolated from ectomycorrhizas.(外生菌根から分離培養したセイヨウショウロ属菌の分類属性と菌株の特徴) |
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著者(所属) |
小長谷 啓介(きのこ・森林微生物研究領域)、山中 聡(北海道支所)、木下 晃彦(九州支所)、玉井 裕(北海道大学大学院農学研究院)、山中 高史(研究ディレクター) |
掲載誌 |
Mycoscience、Volume 62 Issue 2 Pages 124-131、2021年3月 DOI:10.47371/mycosci.2020.12.001(外部サイトへリンク) |
内容紹介 |
きのこ類の菌株は、最適な培養条件やきのこ発生条件を明らかにして安定的なきのこ生産などの産業利用を進めていく上で、欠かせない大切な生物資源です。高級食材「トリュフ」も、欧州では菌株を利用することで、栽培に向けた技術開発が進められています。これら菌株は通常、きのこであるトリュフから分離されますが、トリュフは地中に作られるため見つけることが非常に難しく、効率的に菌株を獲得できる手法を確立することが必要です。 本研究では、トリュフを作る菌類(以下、トリュフ菌)が生息する林地から、菌が共生する樹木の根(菌根)を採集し、そこからトリュフ菌の菌株を分離することに成功しました。約500サンプルの菌根の断片を表面殺菌して、栄養培地の上で培養した結果、104の菌株を得ることができました。その中には、欧州で報告のある種1種、未記載種7種の計8種が含まれていました。 この結果は、トリュフそのものが見つからなくても、トリュフの菌根さえ見つかればトリュフ菌の菌株を収集することができることを示しています。今回の手法を用いることによって、今後、日本に生息するトリュフ菌の菌株収集を効率的に進めることができると考えられます。
(本研究は、2021年3月にMycoscienceにおいて公表されました。)
写真:トリュフ菌の菌根(左)と培養菌糸(右)。 |
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