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植栽樹種が人工林の生物多様性に及ぼす影響が明らかに

2021年5月28日掲載

論文名

Effects of planted tree species on biodiversity of conifer plantations in Japan: a systematic review and meta-analysis(植栽樹種が日本の針葉樹人工林の生物多様性に及ぼす影響:系統的レビューとメタ解析)

著者(所属)

河村 和洋(北海道大学)、山浦 悠一(四国支所)、曽我 昌史(東京大学)、R. Spake(サウサンプトン大学)、中村 太士(北海道大学)

掲載誌

Journal of Forest Research 26(3) p237~246 2021年3月 DOI:10.1080/13416979.2021.1891625(外部サイトへリンク)

内容紹介

日本のように人工林が広がる国・地域では、人工林での生物多様性の保全が重要です。人工林の生物多様性が何に影響されているかについては、植栽樹種、すなわち「何を植えるか?」が特に重要だと指摘されてきました。しかし、異なる植栽樹種の間で生物多様性が比較されることはほとんどありませんでした。

そこで、日本国内の針葉樹人工林で行われた生物多様性に関する研究資料を収集し、植栽樹種が生物の種数や個体数に及ぼす影響を比較しました。その結果、カラマツやトドマツなどマツ科の人工林では多くの生物で個体数や種数は天然林と大きな違いは見られませんでした。一方、スギやヒノキなどヒノキ科の人工林ではほとんどの生物で個体数や種数が低い値を示しましたが、下層植生についてはこれらの樹種の人工林でも高い値が見られたケースもありました。さらに、西日本の人工林では脊椎動物の多様性の研究が少ないことも明らかになりました。

今回の結果は、人工林であっても植栽樹種がマツ科であれば多くの生物にとって優しい存在であることを示しています。また、スギやヒノキの人工林でも、間伐や広葉樹の保持などによって生物多様性を保全できるものがある可能性があります。今後は西日本の人工林での生物多様性研究を蓄積し、施業と生物多様性の関連をさらに調べることで、人工林を多様な生物の生息に適した場として管理する方法が明らかになることが期待されます。

 

(本研究は、Journal of Forest Researchにおいて2021年3月にオンライン公表されました。)

 

図:植栽樹種が人工林の生物多様性に及ぼす影響

図:植栽樹種が人工林の生物多様性に及ぼす影響
植栽樹種(ヒノキ科またはマツ科)が各分類群の個体数や種数に及ぼす影響を示しています。

  • 横軸はヘッジのgという指標で、天然林を比較対象とした際の人工林の個体数や種数の相対値を表します。負の値は、人工林の生物の個体数・種数が天然林と比べて低いことを表します。
  • ほとんどの分類群で、ヒノキ科人工林ではヘッジのgが負の値をとる一方、マツ科人工林では0に近い、あるいは正の値となっており、ヒノキ科よりもマツ科を植栽した人工林の方が生物の生息地としての機能が高いことが示唆されました。
  • 黒丸は複数の研究を統合した平均値を、エラーバーは95%信頼区間を、そしてアスタリスクは植栽樹種間の違いの有意性を表しています(***:p<0.01、**:p<0.05、*:p<0.1)。
  • nkはそれぞれ、解析に用いた比較数と文献数を示します。

 

表:収集された文献数(地方、分類群別)

表中の数字は、各地方における、各生物を対象として天然林と人工林の生物多様性を比較した文献の数です。近畿・中国地方ではどの生物も研究が少なく、とりわけ脊椎動物の研究は西日本全体で少ないことが示されました。

表:収集された文献数

 

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【研究担当者】
森林総合研究所 四国支所 山浦 悠一
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