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2022年2月16日掲載
論文名 |
全国の半自然草原における維持管理をめぐる現状と課題:市町村を対象にした全国アンケート調査から |
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著者(所属) |
八巻 一成(森林管理研究領域)・高橋 佳孝(一般社団法人全国草原再生ネットワーク) |
掲載誌 |
環境情報科学学術研究論文集、35巻、84-89、環境情報科学センター、2021年12月 DOI:10.11492/ceispapers.ceis35.0_84(外部サイトへリンク) |
内容紹介 |
半自然草原(人の手によって保たれてきた草原。以下、単に草原とします)は、かつては国土の1割以上を占め、山野のありふれた景観でしたが、今や1%程度にまで減少し、消滅の危機にあると言われています。残された草原の維持管理の現状を把握するため、全国の草原が所在する市町村を対象にアンケート調査を実施しました(分析対象:117草原)。 その結果、かつては放牧や採草、茅採取などに利用されていた草原の多くが、現在では観光や生物保全のために維持管理されており、6割を越す草原では市町村がその経済的メリットを認識していました。その一方で、7割近くの草原では維持管理の担い手不足や高齢化が生じていました。さらに、新たな担い手がおらず、担い手確保の取り組みも行なっていない草原も7割以上にのぼりました。地域の過疎化や高齢化によって、草原の維持管理が難しくなっている実態が浮き彫りになったと言えます。 このような中、半数近くの草原ではボランティア参加による維持管理が試みられていることも判明しました。草原は伝統的に、住民が集落の入会地として共同で利用・管理してきました。しかしこれからは、草地に関心のある多様な人々と住民との協働による新たな維持管理のかたちが求められていると言えるでしょう。 本研究は、全国草原再生ネットワークが実施したアンケートを共同で分析した成果です。
(本研究は、2021年12月に環境情報科学学術研究論文集において公表されました。)
図:草原があることによる経済的メリットの評価 |
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