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藻類の生育や水生生物の生息に必要な光環境は渓畔林の状態によって異なる

2022年3月23日掲載

論文名

Evaluation of sunlight penetration through riparian forest and its effects on stream biota (渓畔林域の木漏れ日の評価と水生生物への影響について)

著者(所属)

吉村 真由美(関西支所)、久保田 多余子(森林防災研究領域)

掲載誌

Global Ecology and Conservation 34C (2022) e02043 2022年2月 DOI:10.1016/j.gecco.2022.e02043(外部サイトへリンク)

内容紹介

渓流に沿って形成される渓畔林は、倒木による淵の形成や落葉の供給など、渓流内に生息する水生生物の生息地形成を様々な形でサポートし、水生生物を多様にしていることが知られていますが、渓流内の光環境を変えることの影響については調べられてきませんでした。そこで、渓畔林の林冠を通して渓流にもたらされる日射量を測定し、水生生物との関係を明らかにしました。林冠が閉じている川幅1m程度の場所では、渓流中の藻類量・水生生物の個体数は日射量が多いほど増えるのに対し、林冠に大きな隙間がある川幅5m程度の場所では、直射日光をともなう強い日射量が逆に渓流内の水生生物の個体数や藻類量を減らすことが分かりました。したがって、水生生物相の豊かな渓流域を維持・保全するためには、夏の強い直射日光は遮る必要があるということになります。渓流域を管理し水生生物の多様性を維持するためには、直射日光の入り込みやすさと関わる渓流の幅や渓畔林の状態に注意を払い、日光の方向も考慮しつつ管理していく必要があると考えられました。

(本研究は、2022年2月にGlobal Ecology and Conservationでオンライン公開されました。)

 

図:日射量・藻類量・水生生物の個体数の関係

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