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掲載日:2022年4月28日
インドネシア国で20数年前に大火災に遭った森林を調べたところ、樹木の種数や本数は回復しているものの、樹木の大きさや樹種構成は大きく異なり、火災後の森林回復には長い時間かかることがわかりました。
インドネシア国カリマンタン東部のスンガイワイン保護林周辺を含め、東南アジアの熱帯低地林ではエル・ニーニョに起因する大きな火災をたびたび受けています(写真1)。私たちはこうした火災の長期的な影響を明らかにしようと、20数年前に火災を受けた森林の構造(木の本数、胸高直径、樹高など)や樹種構成を調べました。その結果、樹木の種数や本数は回復してきているものの、樹種構成は遷移初期に現れるMacaranga属などの先駆樹種が残っているため、火災前とは大きく異なったままであることがわかりました(写真2)。また、火災を受けなかった森林には巨大なフタバガキ科の樹木が多いのですが(写真3)、火災を受けたスポットには明らかに小さい樹木しかありませんでした。火災から20数年後の今回の調査によって、見た目には緑が回復したように見えても、熱帯低地林が元の姿に戻るには非常に長い時間がかかることわかりました。
(本研究は、2022年3月にBiodiversitasにおいて公表されました。)
![]() 写真1:山火事を受けて間もない森林 |
![]() 写真2:火災から20数年経過した森林 |
![]() 写真3:火災を受けていない巨大なフタバガキ科樹木。 胸高直径は約1m、樹高は50m以上ある |
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