研究紹介 > 研究成果 > 研究成果 2022年紹介分 > 酷似の外来種メスに徒労の交尾 カミキリ在来種への影響懸念
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掲載日:2022年5月13日
最近、国内でも樹木被害が確認されている外来種ツヤハダゴマダラカミキリ(以下「外来種」)のメスに対し、日本の近縁在来種ゴマダラカミキリ(以下「在来種」)のオスが交尾行動を取ることが分かりました(写真1)。在来種オスは同種メスと見誤ったと考えられ、時間と体力を浪費して繁殖の機会を減らし、生態系への悪影響が懸念されます。
今回の研究で両種の異性が出合ったときの行動を調べたところ、在来種オスは外来種メスに対し、マウンティングし続け、繰り返し交尾を試みていました。両種は非常によく似ていて、首(前胸)や肩(鞘翅上部)を注意深く見なければ区別できません(写真2、3)。在来種のオスは交尾相手を見た目や臭いで認識しており、外来種のメスを同種のメスと見間違うようです。
外来種は広葉樹に卵を産みつけ、幼虫が木の内部を食い荒らし枯らしてしまう中国原産の害虫で、ヒアリと同じく「世界の侵略的外来種ワースト100」に選ばれています。国内でも2021年以降、成虫の捕獲や、アキニレやカツラ、トチノキ等での被害が報告されています(写真4)。
(本研究は、2022年3月にApplied Entomology and Zoologyにおいて公表されました。)
写真1:外来ツヤハダゴマダラカミキリのメス(下)にマウンティングして交尾しようとする在来ゴマダラカミキリのオス(上)
写真2:ゴマダラカミキリ2種を見分けられますか?左は在来種、右は外来種です!
写真3:ゴマダラカミキリ2種の見分け方
写真4:外来ツヤハダゴマダラカミキリの生息が確認された県(赤)と、寄生された木の例。高いところから集中的に加害され枯れる特徴があります。
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