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掲載日:2022年5月27日
日本各地に35種が自生するキイチゴの仲間(キイチゴ属)のうち、半数以上は約2000万年前ごろから単一種が東アジアで多様化を遂げた結果であることが遺伝子配列の解析などで明らかになりました。また、北日本や高山に分布する種のほとんどは、さらに古い起源を持つ系統で、そのうち、東北地方に分布するゴヨウイチゴは近縁種のいない独特な種であることも分かりました。(写真と図)。
キイチゴは、スギ・ヒノキ人工林の皆伐地に侵入するので「厄介者」扱いされることも多いですが、日本の生物多様性の歴史を語る貴重な「生き証人」と言えるでしょう。
今回の研究では、データベースに登録されている海外のキイチゴの遺伝子配列と合わせ、日本のキイチゴの系統解析を行い、キイチゴ属の進化過程を調べました。
キイチゴは日本中で見られるバラ科の低木で、その仲間としては、ケーキ用に栽培されているラズベリーをはじめ、実が甘酸っぱく登山者に人気の野生種モミジイチゴやフユイチゴなどがあります。
(本研究は、2022年4月にPlant Systematics and Evolutionにおいて公表されました。)
写真:日本には多様なキイチゴが生育しています。本研究ではその多様性の成立過程を明らかにしました。
図:日本産キイチゴ属植物の系統樹(一部の種について抜粋)。下軸は、系統樹の分岐年代の推定結果を示しています。日本のキイチゴには、黄色で示したグループのように系統的に古い起源をもつ種がある一方で、青色で示したグループのように、半数以上の種は約2000万年前以降に単一の祖先から多様化を遂げて進化したものであることが分かりました。
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