研究紹介 > 研究成果 > 研究成果 2022年紹介分 > ヒノキと下層植生は深さのちがう土壌から窒素を吸収する
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掲載日:2022年8月1日
ヒノキ林では間伐をすると下層植生が増加します。ヒノキと下層植生が吸収する土壌窒素の起源を26年にわたる森林総合研究所四国支所(高知市)の調査で明らかにしました。
ヒノキ林では、間伐により光環境を改善し下層植生の成長を促すことが大切である一方、ヒノキと下層植生は土壌中の水や窒素資源をめぐっては競争関係にあります。こうした板挟みの中で最適な間伐方法を検討する上で今回の調査結果が役立つと期待されます。
同支所のヒノキ人工林でヒノキと下層植生の窒素特性を調査したところ、ミミズバイ(写真1)など下層植生は林齢とともに落葉量が増加しました(図1左)。また、窒素安定同位体比の推移から、ヒノキは林齢30年を超えると土壌表層の窒素をより多く吸収し、下層植生はより深い土壌の窒素を吸収することが推察されました(図1右)。
(本研究は、2022年5月にNitrogenにおいて公開されました。)
図1:林齢に対するヒノキと下層植生の落葉量(左)および窒素安定同位体比(右)の変化
林齢とともに下層植生の落葉は増加しました。
窒素安定同位体比は、ヒノキでは30年生以降で減少し、ヒノキは林齢に伴って土壌表層の窒素をより多く吸収すると推察されます。
写真1:主な下層植生はミミズバイでした。樹木園のミミズバイがヒノキ林に侵入して増加したようです。
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