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掲載日:2022年10月28日
近年、小規模分散型エネルギー利用を進める上で、熱と電気を併給できる小型ガス化熱電併給装置(以下、「小型CHP装置」)に期待が集まっており、その稼働には乾燥した燃料の供給が必須となっています(写真1)。本研究により、小型CHP装置向けの燃料用乾燥チップの流通体制が未発達であること、その流通体制整備には「適正価格水準の確保」が最重要であることが、国内10事例の調査から明らかとなりました。
研究グループは、全国に先駆けて小型CHP装置を導入する8事例のCHP事業者とチップ生産者、加えて大規模チップ生産者および乾燥チップ流通に取り組むチップ流通業者に対し、乾燥チップ確保の取組に関する聞き取り調査を2019~2021年にかけて行いました(写真2)。その結果、CHP事業者らは自らチップ乾燥を手がけていること、その一因として乾燥チップの流通体制が未整備であることなどが明らかとなりました。そして、チップ生産者・流通業者は、流通体制の整備において「燃料需要の量的なまとまり確保」よりも乾燥コストの反映や乾燥重量単位での価格設定など「適正価格水準の確保」を重要視していることも明らかとなりました。
また、小型CHP装置の普及を目指す企業による燃料流通体制整備や、熱供給事業者による余剰熱有効活用のための燃料乾燥ビジネスなど新しい取組が始まっていることも確認されました。
(本研究は、2022年6月に日本森林学会誌において公開されました。)
写真1:調査事例で導入されていた小型ガス化熱電併給装置。いずれも、電気で40-50kW、熱はその倍程度を出力する。
左・中の装置は部品が剥き出しとなっているが、右の装置は全てが箱内に収納されている。
写真2:小型ガス化熱電併給装置向けの燃料用乾燥チップ
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