研究紹介 > 研究成果 > 研究成果 2022年紹介分 > 樹種間で異なる近赤外線透過率、非破壊木材識別への応用期待
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掲載日:2022年11月25日
針葉樹21種で近赤外線の透過率を調べたところ、樹種間で最大10倍の開きがあることが分かりました。光の透過率は木材の構造、心材成分、密度などから影響を受けていると考えられ、近赤外線による非破壊の樹種識別や材質評価への応用が期待できます。
森林総合研究所が所蔵する針葉樹21種の木材標本(含水率約11%)から切り出した軸方向の厚さ1cmの試料に波長が500-1200nmの光を照射し、その透過率を測定しました(図)。その結果、波長が1100nmの付近の近赤外線の透過率は、サワラが最も高い40.3%で、最も低いイチイ3.9%と比較して10倍以上の開きがありました(表)。
また、近赤外線の透過率が心材で高くなる樹種や逆に低くなる樹種、心材と辺材間で変化が大きい樹種や小さい樹種がありました。ヒノキ属のヒノキとサワラ、トウヒ属のエゾマツとアカエゾマツ、モミ属のトドマツとモミのように、同じ属の樹種は心材と辺材間の変化が同じ傾向を示すことも分かりました。
波長が500-700nmの可視領域の光は多くの樹種で透過しませんでしたが、約700nmを超えた近赤外領域では波長が大きくなるに従って透過率が上昇し、波長1100nm付近ですべての樹種に透過率のピークが見られました。そこで、波長1100nm付近の近赤外線を用いて各樹種の透過率を測定し比較しました。
(本研究は、2022年9月にIAWA Journal においてオンライン公表されました。)
図 木材の透過率の測定方法
(注)入射した光の一部の光は木材試料に吸収されるが、今回は吸収に着目していないため図では省略した。
表 樹種・部位ごとの1100nm付近の波長の光の透過率(%)
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