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掲載日:2023年2月6日
外来リス野生化による農林業および生態系被害が世界各地で問題となる中、国内4か所の駆除の成功事例には、専門家の積極関与や関係者ネットワークなど5つの要因があることが分かりました。これら要因は国内外で対策を進める際の参考になる貴重な知見です。
国内で野生化している外来リスは、ペットとして一般的に飼育されているシベリアシマリス、農林業に大きな被害をもたらすクリハラリス、在来固有種への遺伝子浸透(雑種形成)が危惧されるキタリスの計3種で、クリハラリスとキタリスは駆除対象の「特定外来生物」に指定されています。
2022年9月までに公表された文献や現地踏査から、クリハラリスは13都府県17か所で、キタリスは2県2か所で定着が確認されました(図)。このうち、本稿の著者のいずれかが直接関与しほぼ根絶に成功した4か所について、導入経緯、生息状況、対策の手法や体制などを本総説で詳細にまとめました。
その結果、取組を成功させた要因は、1)早い段階や個体数10,000以下で捕獲対策に着手、2)捕獲方法選択・体制つくり・情報の解析・普及啓発に各分野の専門家が積極関与、3)外来哺乳類に関連する学会から自治体など関係機関に対策推進を働きかけ、4)学会からの要請に都道府県や市町村など自治体が迅速対応、5)専門家・行政・市民を含む多様な利害関係者によるネットワーク形成、の5つであることが分かりました。
(本研究は、2023年1月にFrontiers in Ecology and Evolutionにおいてオンライン公開されました。)
図 日本における外来リス2種の分布地点:クリハラリス(左)キタリス(右)。
本稿で取り上げた4地点の成功事例は黒色、それ以外は橙色で示した。
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