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掲載日:2023年3月14日
東南アジアを対象に水環境の悪化を示す「富栄養化リスク」*1)を調べたところ、大都市周辺の森林に分布する湖沼や河川において、これまで知られていた東アジアと同程度のリスクがあることが分かりました。経済成長に伴う硫黄や窒素の降下量増大が原因と考えられ、大気汚染による森林への影響を示唆する知見です。
研究グループは、大気モデルを使った汚染物質降下量の推定や、日本を含め13か国が参加する「東アジア酸性雨モニタリングネットワーク」(EANET)による観測結果を活用し、大気汚染による土壌酸性化や水域の富栄養化のリスクを示す「東・東南アジア地域の広域評価マップ」を作成しました。その結果、富栄養化リスクの指標の1つである「窒素臨界負荷超過量」(ExnutN)*2)が、東アジアだけでなく、東南アジアの大都市周辺の森林でも高いことが明らかとなりました。
*1)富栄養化リスク:ここでは将来にわたって水域の窒素濃度が増加し続ける状態を示す。窒素濃度の増加は水環境の悪化をまねく。
*2)窒素臨界負荷超過量:植生や土壌のタイプ、気象データから算出される生態系が受容できる窒素量と、大気から生態系への窒素降下量の比較によって算出される。値が0を超えると富栄養化リスクがあると判断され、値が大きいほどリスクが高くなる。
(本研究成果は、2022年12月にScience of the Total Environmentでオンライン公開されました。)
図:富栄養化リスク指標の一つである窒素臨界負荷超過量(ExnutN)のマップ。東アジアだけでなく東南アジアの都市周辺でもリスクが高い地点が分布していることがみてとれる。
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