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掲載日:2025年3月28日
不規則に堆積した雪の中では高めの声が伝わりやすく、雪崩現場では遭難者が音の高さを変えながら声を発すれば迅速救助に効果的であることが実験でわかりました。直感的に把握しやすい音を活用できれば、落雪などで埋まった林業従事者や除雪作業者の救助にも応用が期待できる成果です。
研究グループは、新潟県上越市内の山中にて、乱した雪の中にスピーカーを埋め、さまざまな周波数の音を発生させ、音の伝わり方を調べました。その結果、比較的低周波数の音(200-1000Hz)の減衰が小さく、雪崩遭難者が埋まる平均的な深さ(約0.8m)において真上の人が聞き取れる可能性が高いことがわかりました。これは人間の声音だと、通常の会話よりも男性なら1〜2オクターブ、女性なら1オクターブ高くすると伝わりやすいです。雪崩によって堆積した雪は、音の伝わり方に影響する雪質や密度、水の量など状態が不均一なため、周波数を時間変化させることが迅速な救助に効果的です。
なお、一般的に雪崩に埋もれた人を発見するには、雪崩ビーコンと呼ばれる電波送受信機がよく利用されていますが、不携帯などの理由により発見が遅れることが課題となっています。
(本研究は、Bulletin of Glaciological Researchにおいて2025年1月に公開されました。)
写真:音波実験の様子(新潟県上越市)
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