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ツイッター上の「森林」、規模の大きい話題と関連したつぶやき多め

掲載日:2025年3月31日

近年、森林サービス産業が注目されています。今後、さらに推進していくためには、多くの人々に森林を身近な場所として感じてもらい、森林空間の利活用に繋げていくことが重要です。このような問題意識から、まずは「森林」という言葉の使われ方を調べるために、SNSのツイッター(現X)の投稿(つぶやき)を分析したところ、「森林」は環境保護など規模の大きいトピックに結びついた投稿の多いことが分かりました。一方で、同じ緑地である「公園」は多数の日常生活に関連したトピックと結びついていました。

研究者らは、2021年5月のツイッター(当時)のうち、「森林」を含む12,856件と「公園」を含む35,881件の投稿を分析し、それぞれの言葉がSNSでどのように使われているのかについて調べました。その結果、「公園」を含む投稿の多くは、子どもの遊び場や散歩コースといった日常生活に関連したイメージと結びついていましたが、一方で、「森林」を含む投稿は、環境保護や森林伐採などの規模の大きい社会的なトピックと関連するイメージと結びついていることが明らかになりました。

このことから、より多くの人に「森林」を身近に感じてもらうためには、「公園」のように日常生活に結びついたイメージを有してもらえるような誘導が有効と言えそうです。具体的な方法として、「森林浴」については「行く」・「癒やす」・「公園」などの日常生活と関連した行為や場所と結びついていました。また、「写真撮影」や「花の観賞」についても、「森林」「公園」の両方に共通して重要なトピックとなっていたことから、たとえば、樹林の多い都市公園や身近な森林において、上記のような体験の機会を増やしていくことで、多くの人々に「森林」をより身近に感じてもらうことが可能になり、最終的に森林空間への訪問へのきっかけになるのではないかと思われます。

(本研究は、森林総合研究所研究報告において2025年3月に公開されました。)

 

図:「森林」と「公園」のネットワーク図


図:「森林」をキーワードにして収集したテキストを分析したところ、「森林」は環境保護や環境破壊等のような規模の大きい事象とリンクしていた。一方で「公園」は散歩・子どもと遊ぶ等の日常生活で行う行為と結びついた事象とリンクしてることが分かった(図は両ネットワーク図の一部を抜粋)

 

写真:都市公園内の樹林での森林浴体験の様子

写真:都市公園内の樹林での森林浴体験:里山・都市公園・緑地など、身近な樹林空間を活用した散策や自然観察、あるいはヨガ、マインドフルネス等の活動は、多くの人々に森林をより身近な存在として感じてもらうことに繋がる。

  • 論文名
    SNSデータからみた“森林”の利用イメージ―“公園”との比較から―
  • 著者名(所属)
    古賀 和子((一社)全国森林レクリエーション協会)、高山 範理(森林管理研究領域)
  • 掲載誌
    森林総合研究所研究報告24(1)、p.1-13、2025年3月 DOI:10.20756/ffpri.24.1_1(外部サイトへリンク)
  • 研究推進責任者
    研究ディレクター 細田 和男
  • 研究担当者
    森林管理研究領域 高山 範理

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