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森林総合研究所交付⾦プロジェクト1(2017~2020)
全国的にニホンジカの生息数が増加し、造林地でも採食などによって大きな被害を受けています。造林地での一般的なシカ被害対策は、シカの侵入を防ぐ防鹿柵の設置です。しかし、防鹿柵の破損などによってシカの侵入を完全に防ぐことは難しいのが現状で、柵内での被害も多々報告されています。また、防鹿柵は設置だけでなく、その後のメンテナンスや撤去のコストも必要となりますが、現時点では柵の撤去までのコストは計算されておらず、いずれ柵の撤去が大きな問題となると懸念されます。防鹿柵のほかには、造林木を単木的に保護するツリーシェルターや、シカの食害を受けやすい高さより大きな苗を植える大苗植栽があります。
これらのシカ被害対策(防鹿柵・ツリーシェルター・大苗植栽)の効果は、シカ生息密度や立地条件などに左右されますが、これらを比較検証した事例はほとんどありません。また、設置から撤去までを考慮してコストを計算した例もまだわずかです。
本研究では、九州・四国地域をフィールドとして、シカ生息地で人工林を更新させる初期保育技術として、防鹿柵を使わないシカ被害防除技術を検証し、シカ生息数・影響レベルを明らかにしたうえで各対策の適用範囲を示した施業オプションを提示することを目的としています。
ツリーシェルター施工地
盆栽状になったスギ
破損した防鹿柵
研究成果を取り纏めました。
西日本の若齢造林地におけるシカ被害対策選択のポイント~防鹿柵・単木保護・大苗植栽~
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