ここから本文です。
第2樹木園や、釣舟草通りの沢の上を、黒地に白い紋を持った虫がひらひらと飛ぶのをよく見ます。蝶のようでもありますが、羽を背中側に屋根状にたたむので、蛾のようにも思えます。しかし実は、これは蛾でも蝶でもありません。トビケラ目(毛翅目)というグループに属する虫で、ヨツメトビケラという名前です。
トビケラ目は、その姿から想像できるとおり、系統的にもチョウ目(鱗翅目)に近い昆虫ですが、翅に鱗粉はなく、代わりに毛が生えています。また、生活上の大きな特徴は、幼虫が水棲だということです。幼虫は水の中で、砂粒等を糸で綴ってミノムシのような巣を作り、巣に入ったまま水底を動きまわって他の水生昆虫などを食べます。成虫は、樹液や花蜜、あるいはアブラムシの甘露などを食べます。成虫は飛べるので、どこへでも行きそうですが、沢筋から離れたところではほとんど見られず、幼虫の生息環境から離れられないようです。(し)
Copyright © Forest Research and Management Organization. All rights reserved.