研究紹介 > トピックス > プレスリリース > プレスリリース 2011年 > 衛星データから森林被覆率を推定する効率的な方法を解明 ―国レベルでの正確な推定のために必要なサンプリング率を明らかに―
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平成23年10月17日
独立行政法人森林総合研究所
ポイント
現在、地球温暖化問題の中で、熱帯林の森林減少に注目が集まっています。このような森林の状況やその変化をとらえるのにリモートセンシングは有効な技術です。国レベルでの森林被覆率(森林が土地を覆っている割合)を把握するには、全域の衛星データを解析して森林被覆図を作成する方法と、系統的に一定のエリアを抜き出して全体を推定するサンプリングによる方法があります。サンプリングによる方法は、広い面積を対象にする森林被覆率を算出するのに適していますが、サンプリング率(全体の面積に対する抜き出すエリアの面積の割合)がその推定値に影響します。そこで、30mの地上分解能をもつランドサット衛星画像を用いて、日本の離島をのぞく全域について土地被覆クラスが同一とみなされる領域に分割するオブジェクト指向型分類という手法を用いて土地被覆分類図を作成しました。この土地被覆分類図を10km四方の方形に区画し、各区画での森林被覆率を計算し、サンプリング率を変えてこれらの方形を系統的に抽出して森林被覆率の平均を求めました。その結果、森林被覆率を確実に推定するためには、20%以上のサンプリング率が必要であることを明らかにしました。この成果は、国連食糧農業機関(FAO)における森林資源評価2010(FRA2010)リモートセンシング資源調査での分類パラメータの設定に役立てられており、森林被覆が十分に把握されていない発展途上国で国レベルのサンプリングによる森林被覆率を推定する場合の指標として役立つことが期待されます。
予算:森林総合研究所交付金プロジェクト 「次期枠組みの国際交渉に必要な森林の吸排出量算定手法の探索的研究」
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独立行政法人 森林総合研究所 理事長 鈴木 和夫 |
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