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プレスリリース平成26年4月1日
独立行政法人森林総合研究所

森林内の放射性物質の分布状況調査結果について(事故後2年半までの変化)

森林総合研究所では、林野庁の委託事業により、福島県内の3町村の試験地において森林の土壌や落葉層、樹木の葉や幹などの放射性セシウムの濃度とその蓄積量を毎年調べています。事故後、2年半までの調査概要が林野庁からプレスリリースされました。

結果の概要

  • 部位別の放射性セシウム濃度の変化について

葉や枝、樹皮など樹木の部位別の放射性セシウム濃度は、おおむね低下傾向にありました。木材内部の心材と辺材の放射性セシウム濃度は全般に低く、大きな変化は認められませんでした。土壌は、2012年までと同様、表層土壌0~5cmの放射性セシウム濃度が最も高く、5cmより深い層はその10分の1以下の濃度でした。2012年から2013年にかけての表層土壌0~5cmの放射性セシウム濃度は増加と減少が混在し、明瞭な傾向はみられませんでした。

  • 森林全体の放射性セシウム蓄積量と分布の変化について

森林全体の放射性セシウム蓄積量は、初期沈着量の最も多かった川内スギ林ではしだいに減少する傾向を示しました。それ以外の調査地では、放射性セシウムの蓄積量の明瞭な変化の傾向はみられませんでした。ただし、いずれの調査地も、森林の地上部の樹木に蓄積する割合が減少し、落葉層や土壌に蓄積する割合が増加しました。部位別の放射性セシウム蓄積量の割合をみると、2011年から2012年にかけて各部位の割合が大きく変化しましたが、2012年から2013年にかけての部位別分布の変化は小さなものでした。ただし、一部の調査地は2012年と同様、落葉層に多く蓄積するなど他の調査地とは異なる傾向を示しました。

以上のように、森林内の移動しやすい放射性セシウムの動きが収まったため、2012年から2013年にかけての濃度や蓄積分布の変化は小さかったものと考えられます。現在、一部の森林を除き、放射性セシウムの大部分は土壌表層付近に分布しています。

樹体内への新たな放射性セシウムの吸収量については明確な結果がえられませんでした。スギ材における心材と辺材の濃度分布の変化や、毎年新たに展開するコナラの葉に放射性セシウムが含まれることから、事故後に取り込まれた放射性セシウムは樹体内を移動している可能性は示唆されました。

なお、森林全体の放射性セシウムの蓄積量の変化が少なく、また別途実施している渓流水中の放射性セシウム濃度の調査結果等から判断すると、放射性セシウムは森林内に留まり、森林外への流出量は少ないと考えられます。

詳細は、関連リンクのサイトを参照して下さい。

 

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